姫島

福岡県糸島半島の西方3km

玄界灘に浮かぶ孤島

ここは勤王の歌人 野村望東尼(ぼうとうに・もとに)が流罪になった島である。

望東尼が囚われた牢獄跡に御堂があると知り、いつか行ってみたいと思っていた。

岐志漁港

個人の趣味なのだから、一人で行けば良いのだが

一人だとなぜか行く気がせず先延ばしにしていた。

ところが、この夏、女房が「姫島に行こうか?」と気を使ってくれたので行くことになった(^^ゞ

姫島〜岐志漁港の渡船は、1日4往復ある。

1便7時50分発で姫島に行き、島で昼食をとって、15時姫島発の3便で帰ってくればゆっくり島を見学できる。

早朝、高速道路をフルに使って岐志漁港に到着

駐車場は無料である。

「ひめしま」という渡船に乗り込み、およそ16分で姫島に到着した。

大人片道460円

 

島の産業は、漁業が主である。

周囲約4km、この写真に写っている部分が主な生活圏になる。

人口は、約200人だそうだ。

姫島保育所

小さい子供たちもいるようだ。

 

まずは、朝早く出発したので、朝ごはんを食べることにした。

島唯一のスーパー「シーガルショップ」

となりは憩いの広場としてTVとテーブルが置かれた休憩所になっている。

パンとオニギリを食べて、早速、望東尼の御堂を目指した。

写真右手が昼食を頼んだ民宿「吉田屋」

まず挨拶をして、荷物を置かせてもらった。

神社があったので、まずはお参り

姫島神社

野村望東尼御堂まで100mの標識

 

100mだというのに迷路のようになっていて標識を見失い、海岸の方に降りてしまった。(^^ゞ

 

間違えついでに海岸線を歩くと太平洋戦争の忠魂碑などがあり、その奥に小学校が見えてきた。

姫島小学校と志摩中学校姫島分校

事前に調べた情報では立派な門があったのだが、土台だけ残してなくなっていた。

台風で飛ばされたのだろうか?

再び海岸線から御堂を目指す。

さっき通ったところと同じ道に合流した。

望東尼御堂まで40m

どうやら、この標識を見逃してしまったようだ。

望東尼の御堂

御堂周辺はちょっとした野村望東尼の史跡エリアになっている。

野村望東尼御堂

牢獄の跡地に建てられた御堂の中に望東尼の人形が置かれている。

望東尼の胸像

幕府による第二次長州征伐が行われようとしていた時期、福岡藩は完全に佐幕化し、勤王党の弾圧を始めた。(乙丑いっちゅうの獄)

 

野村望東尼は、多くの勤王の志士を匿った罪により、ここ姫島に流され投獄された。

慶応元年10月のことである。

 

高杉晋作も望東尼に匿われたひとりである。

長州藩は、禁門の変で敗退し朝敵となり、続く第一次長州征伐により幕府に恭順した。

その時の俗論派による勤王党弾圧から逃れるため、福岡に亡命した晋作は、再び長州藩を正義派の手に戻す(藩内革命)ための周旋活動をするが挫折する。

その時、平尾山荘で望東尼の世話になったのである。

 

※野村望東尼が囚われた時に詠んだ詩

「うき雲の かかるもよしや もののふの 大和心の かずにいりなば」勤王の志士の数に入れてもらったことを喜んでいるのである。

望東尼の御堂から玄界灘を臨む

望東尼は、この牢獄で素食に耐え、寒い冬を過ごした。

投獄から10ヶ月目、望東尼は海から救出された。

第二次長州征伐(四境戦争)を戦う晋作の耳に望東尼が流罪になったという情報が入ったのである。

晋作は、受けた恩義に報いるため、筑前の浪士藤四郎らを差し向け望東尼を救出させたのである。

望東尼の顕彰碑

救出された望東尼は、下関に匿われ晋作の最後を看取っている。

 

その後は、松陰の義弟、楫取素彦の世話により三田尻(山口県防府市)に住み、最後を迎えている。

「野村望東尼獄中歌」姫島日記より抜粋された望東尼の歌碑

望東尼の御堂を見終わって、気がついた!

まだ10時すぎなのに、もう行くところがないのだ・・・・・・・(^^ゞ

 

港を見ると10時10分発の岐志漁港行きが出発するところだった。

これに乗って帰りたいところだが、昼食を頼んでいるので帰るわけには行かない・・・・

 

ゆっくり昼食をとるにしても、これから15時発の渡航船までどうやって過ごそう・・・

再びシーガルショップと憩いの広場

私があんまり焦っているので、女房も私の失敗を追及せず、作り笑顔を見せる(^^ゞ

 

クーラーの利いた、憩いの広場でアイスなどを買ってTVを見ながら昼食の時間まで潰した。

我々が、ここに居るのがわかったらしく、お昼の仕度ができたと民宿の人が呼びに来てくれた。

行くところがなかったので、2時間ぐらいゆっくりさせてもらった。

ようやく15時発の渡航船ひめしまの出発時間となった。

 

京都や下関の墓巡りにも付き合ってくれた女房、次はあるかな・・・(^^ゞ

2012.8.17

参照:一坂太郎著「高杉晋作を歩く」

 

PHOTO放浪に戻る          長州のページに戻る

 

 

姉妹ページ

平尾山荘 野村望東尼

 

故郷探訪 防府三田尻

 

byいとま放浪記